新型コロナウイルス感染症の広がりを受けて当院外来では以下の検査を中止します

新型コロナウイルス感染症の広がりを受けて当院外来では以下の検査を中止します。

1)インフルエンザ迅速検査
2)溶連菌迅速検査
3)マイコプラズマ迅速検査

これらの検査はいずれも、発熱、咳、のどの痛みといった、通常の風邪と同じような症状を訴える患者さんに対して行われるものです。はじめに申し上げると、検査の精度はそれほど高くありません。陰性だからといって病気がないとも言えないのです。あくまで、診断する時の参考所見として利用しているものであり、これだけで病気の有無を確定診断してくれるものでほありません。

また、これらの検査では、細い綿棒でのどや鼻の奥の粘膜をこすりますが、この時に、激しい咳やくしゃみを引き起こすことがあります。そうすると、病原体がエアロゾルという、細かい粒子の状態で室内に飛び散ることになります。

現在、新型コロナウイルスが、発熱者の中でどの程度の割合いるのか、よく分かっていません。もし外来患者さんの風邪症状の原因が、新型コロナウイルスであった場合、医療従事者のみならず、他の患者きん・付き添い者に対してもまき散らして、いわゆる「濃厚接触者」としてしまいます。

このような危険がある中、上記の検査を積極的に行う必要はないと考えます。問診、診察、その他の検査などで、臨床的に判断し、必要に応じて処方をすることも可能です。インフルエンザについては、自宅で安静にするのが基本で、坑ウイルス薬は患者さんが希望きれた場合や、持っている他の病気によって、出されることもあります。

新型コロナウイルスの予防・治療法などが確立し、ある程度安全に検査ができるような状態になるまで、当面、上記対応とさせていただきます。患者さんには事情をご理解いただきたく思います。

なお、今後、保険診療で新型コロナウイルスの検査が行えるようになるとの一部報道もありますが、上に述べたとおり、当院では手技的な安全性が確保されるまで行いません。

令和2年3月2日
多摩済生病院 病院長